鶴田 冬華
早稲田大学(文化構想学部)
King’s College London(Strategic entrepreneurship & innovation MSc)
カナダトロント生まれ。大手コーチング英会話スクールにてイングリッシュコンサルタントとして勤めた後、退職し独立。ビジネスパーソン向け英語コーチングLearnFitを設立し、法人の英語研修や海外企業との交渉を行う。
その後、株式会社Freedを設立。
鶴田 冬華
早稲田大学(文化構想学部)
King’s College London(Strategic entrepreneurship & innovation MSc)
カナダトロント生まれ。大手コーチング英会話スクールにてイングリッシュコンサルタントとして勤めた後、退職し独立。ビジネスパーソン向け英語コーチングLearnFitを設立し、法人の英語研修や海外企業との交渉を行う。
その後、株式会社Freedを設立。
早稲田大学時代は、留学には全く興味はありませんでした。10年以上カナダで働き生活していた父からは、当時の駐在の大変さや「海外生活は厳しい、日本が1番いい」といった話をよく聞かされていました。その影響もあってか、どちらかというと国内志向な考え方を持っていたと思います。
一方で、英語はある程度得意だったので、大学卒業後は起業の道を選び、英語コーチング会社を立ち上げました。
社会人に基礎的なビジネス英語やTOEICを教えるうちに、30代・40代でMBAに挑戦する生徒さんたちに出会い、自然と自分もいつかMBAに挑戦してみたいと思うようになりました。
英語コーチングの仕事から派生して、外資系企業と日本企業の橋渡しのような業務にも携わっていました。
あるとき、とある企業の社長に同行してヨーロッパを出張で訪れる機会がありました。その際、イギリスで初めてキングズカレッジ・ロンドンのキャンパスを目にし、キャンパスとは思えない建物の美しさ・かっこよさに心を奪われました。「ここで学べたらどんなに素敵だろう」と強く感じ、20代後半には本格的にイギリスの大学院進学を検討し始めました。
大学院には、MA、MSc、MBAといった種類があります。当初はMBAを考えていましたが、「アントレプレナーシップ」という学問の存在を知りました。これは日本ではあまり知られていない、起業家精神を学ぶ学問です。
MBAはどちらかというと、経営やマネジメント、組織運営について学ぶイメージがあります。
一方、アントレプレナーシップは、投資家から出資を受ける方法(venture financing)や国際マーケティング(international marketing)という授業が多数あり、ゼロからベンチャーを立ち上げることにフォーカスしているイメージでした。また、ロンドンという世界の中心地で、世界中の起業を目指す人たちと一緒に学べる環境にも惹かれました。
私は巨大な組織をマネジメントするよりも、ベンチャー起業としてのキャリアを積みたいと考えていたため、「Strategic Entrepreneurship and Innovation MSc」を優先して選ぶことにしました。
実際に入学してみると、クラスの半数はすでに起業している人や起業家志望の人、残りの半数は親のビジネスを継ぎ、拡大していこうと野心を持つ人に溢れ、非常に刺激的な環境でした。
King’s College London(KCL)は1829年に設立された、ロンドンを代表する伝統ある大学です。イギリスの名門研究大学グループ「ラッセルグループ(Russell Group)」の一員であり、オックスフォードやケンブリッジと並ぶ「ゴールデン・トライアングル(Golden Triangle)」に含まれる大学でもあります。
特徴としては、
・世界トップクラスの研究力(特に人文社会学、ビジネス、医学系で有名)
・ロンドン中心部にあるキャンパス(Strand, Waterloo, Guy’s, Denmark Hillなど)
・世界中から集まる学生の多様性(150か国以上から留学生が在籍)
・政治・経済・文化の中心地で学べる圧倒的な立地
こうした環境から、世界的なリーダーや起業家を多く輩出しており、在校中も世界を目指す仲間と切磋琢磨できる刺激的な環境が整っています。
私のビジネススクールの授業は週4回ほどで、1コマは90分です。授業の前後は予習や、グループワークの課題についてメンバーと話し合う時間がメインでした。
大学院の授業内容は大学によって大きく異なりますが、キングズのビジネススクールは特に実践的だと評判です。さまざまな企業のケーススタディを考察し、グループでプレゼンを行います。
例えば、XiaomiがAppleの模倣者として今後どう生き残るかを議論し、グループプレゼンを作る、といった課題です。プレゼンの型は自由で、面白く、惹きつけ、クリエイティブにする工夫も評価に加算されます。そのため、スーツを着てコンサルタント風にしたり、取締役会議の設定にしたりと、各グループが工夫を凝らしていました。
特に印象的だったのは、実際のイギリス人投資家の前で自分たちのビジネスアイデアをピッチする機会です。
1位のグループには、実際に出資を受けて会社を立ち上げるケースもあります。投資家たちは非常に厳しく、ズタボロに批評されて泣き出す人もいたほどですが、その分、とても実践的で学びの多い経験でした。
とにかく実践的で、帰国後の仕事にも役立っているなと感じます。
渡英後、私は自分のプレゼンテーション能力の低さを痛感しました。当たり前ですが、IELTSのスコアがあるのは当たり前で、そこからさらに高度なディスカッションや交渉が求められる世界。
私はインターナショナルスクールではなく日本の私立で育ったため、膨大な資料を素早く読み込み、論文を組み立てる力も不足していました。英語力はもちろんですが、それよりも交渉力やプレゼン力の欠如を強く思い知らされたのです。
涙があふれることも少なくありませんでした。また、自分の知識の浅さにも打ちのめされました。クラスに日本人は私ひとりだけでしたが、授業の中で日本が取り上げられることは多く、そのたびに「日本代表」として答えなければならないプレッシャーもありました。
イギリスのマスターは、たった1年半という短い期間は少し足りなかったかもしれません。後悔はしておりませんが、プレマスターを検討するのもありだったかな、と今では少し思います。
プレマスターとは、大学院進学前に受ける準備コースのことで、アカデミックライティングやリサーチスキル、専門分野の基礎知識を固める時間になります。英語にまだ自信がない人や、専攻分野を変える人には特に役立つプログラムです。私自身、クラスメイトたちの専門知識や表現力の高さに圧倒されることも多かったので、もしプレマスターを経ていたら、もっとスムーズに学べたのかもしれません。
「MBA行けばよかった」「留学すればよかった」と後悔を口にする人もいますが、
“It’s never too late to learn something new.” という言葉があるように、学び始めるのに遅すぎることはありません。
私の卒業式で生徒代表としてスピーチをしてくださった方は、二人のお子さんを育てながら学業を両立させたお母さんでした。その方が言った「世の中は常に変わっていく。だから学び続けなければいけない」という言葉は、今も私の心に強く残っています。
もちろん、大学院留学にはお金も時間も必要です。
私の場合、既に起業していましたし、そして物価高のロンドンで住むのはお金が必要だったため、仕事を完全には休めず、深夜1時から4時まで仕事をこなし、朝から修論に取り組む、といった日々を最後は過ごしていました。それでも、なんとか修了することができました。学びたい気持ちさえあれば、工夫次第で可能性は広がるのだと感じます。
大学院のたった1年半という短い時間でも、人生観、キャリア、そして今後の生き方までも大きく変えるほどの力があります。もし大学院留学を検討している方がいれば、心から応援します!
その先には、想像以上の学びと出会いが待っています。